カルロス・ゴーン

予測は大体いつも外れる。唯一、我々にとってできるのは、うまくいかない場合の最悪のシナリオと順調にいった場合の最善のシナリオ、この2つを想定するということです。これは役に立ちます。 日産でもそうです。コミットメントは一つですが、前提条件として常に最悪のケースとベストケースを想定します。もちろんベストケースの実現を目指して取り組むわけですが、最悪のケースとベストのケースをきちんと想定できていれば、最終的には、大体中間点に落ち着くものです。いいニュースと悪いニュースは互いに相殺するものですから。 例えば2005年は非常に興味深い1年で、コントロールできなかったものがかなりありました。原材料価格は高騰し、エネルギー費も上昇した。予想以上に金利も上昇し、インセンティブも上がった。ところが幸いにも為替レートが有利に働きました。円安に振れた分、悪いニュースを相殺できました。このように、最悪のシナリオと最善のシナリオを想定できれば、リスクを限定的に抑えることができるのです。